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2021.05.02コラム

コラム20:オーナー様が法人化する場合、知っておいたほうがいいポイントとは…

個人事業主である大家さんが、一度は検討するのが法人化ではないでしょうか。
賃貸経営で、ある程度の売り上げがある場合、法人化することで節税などのメリットが得られる一方、設立に費用や手続きを要するので、慎重な検討が必要です。

そこで今回のコラムでは、「オーナー様が法人化する場合、知っておいたほうがいいポイント」についてご紹介してまいります。

【法人化して得られるメリット】

①社会的な信用度が増し、融資に有利!
法人とは「法人格を持つ」ことなので、法人名義にすることで社会的な信用が高まり、金融機関からの融資が受けやすくなります。
また、融資を受ける場合、法人の代表個人が連帯保証人となることができますので、別で連帯保証人を頼まなくていいのも大きなメリットなります。

②節税できる
法人化の大きなメリットとして注目されるのが、税金の面です。
不動産経営と切り離すことのできない「税金」をさまざまな面で節約できる可能性があります。

⑴税率が一定
日本の所得税は累進課税制度ですので、所得が大きくなればなるほど税率も高くなります。
一方、法人税の税率は一定です。
その為、所得が高ければ、法人化したほうが納税額が安くないます。
例えば…
個人所得が900万円を超えると所得税の税率は33%です。
そして個人所得が1,800万円を超えると、なんと!税率は40%にもなります(累進課税制度)。
一方、法人税は800万円超えで税率23.2%ですから、所得税の税率は33%よりも安くなります。
よって、個人所得が約900万円超えるタイミングが、法人化すべきかの検討時期になると思われます。
つまり、ある程度の売り上げがある場合は、法人化することで税負担が軽減されるメリットが高いです。
ただし、個人と法人では、住民税や事業税などの税率も異なるので、それらをすべて含めて計算し、どちらのほうが得かしっかりと見極めが必要です。
※詳しくは、税理士さんへのご相談をお勧めいたします。
  
⑵所得の分散が可能
■役員報酬による節税
たとえば会社を設立し、社長として「役員報酬」を受け取る場合、その一定の割合を「給与所得控除額」として非課税対象とすることができます。
さらに、家族などを役員とし、先ほど記した所得税の税率を踏まえた上で、所得を配分することはさらなる節税につながります。
ただし、事実上そこで仕事をしていることが原則となります。
■経費として参入できるものの増加
会社を設立すると、個人事業主では認められなかったものを「経費」として計上できるようになります。
例えば…
●保険
たとえば、代表の生命保険やがん保険などが挙げられます。
法人向けの保険にはさまざまな種類があり、タイプによっては、掛け金をすべて経費として計上することができます。
保険金の支払いによって納税額を減らしつつ、物件の大規模修繕など、将来的にお金が必要となった時に、解約払戻金を活用する人もいます。
●役員の借り上げ社宅
役員へ「借り上げ社宅」を用意すると、物件のオーナーに支払う家賃などを経費として計上することができます。
社宅に住む役員から、1カ月当たり一定額の家賃を受け取る必要がありますが、個人で賃貸契約をする場合より低くすることができます。
個人事業主では「生活費」であった住居費を「経費」とすることで、手元資金を増やすことができます。
ただし、税務上の関係で法人から役員個人に対し賃料を取る必要はあります。
※詳細は、国税庁ホームページを参照されてください。
●退職金
将来的に事業から引退する時、法人の場合では代表も役員も「退職金」を受け取ることができます。
退職金は控除額が大きいため、実質的に全額が非課税となる場合が多く、受け取る側にとって節税になります。
会社側から見ても、事業の利益を退職金に充てることで非課税対象となり、大きな節税効果を生みます。

③土地や建物を売却時にもメリット
土地や建物を売却した時、得られる金額(譲渡所得)に対して課せられる税金を「分離課税」といい、他の所得と区別して計算します。
物件の所有期間によって適用税率が異なり、5年以下の「短期」で売却した時、個人なら39%の税が課せられますが、法人の場合にはそれがありません。

④相続税がかからないこと
個人事業主の場合、経営者個人が死亡すると、すべての財産が相続の対象になりますが、法人の場合、会社の所有財産には相続税がかかりません(ただし、経営者が所有していた株式には、相続税がかかります)。
多くの資産家が、不動産や財産の管理会社を所有するのはこのメリットがあるからです。



【法人化のデメリット】

①法人の設立費用がかかる
まず、設立に費用がかかります。
株式会社を新しく設立する場合は、司法書士の報酬や登録免許税などの諸経費で約25万円から30万円ほどのコストがかかります。
「合同会社」であれば、10万円から15万円のコストで設立することが可能です。

②税理士への支払いが発生する
また、会計処理や確定申告が個人事業主よりも複雑になるため、税理士に依頼するケースが多くなり、そのぶん費用がかかります。
大家さん自ら申告する人もいますが、税務調査が入って苦労することもあるので、専門家に頼むことも必要経費として検討するのが賢明と言えそうです。

③赤字でも税負担が発生する
個人事業主の場合は、不動産所得が赤字であれば、消費税を除き、所得税等の税負担は発生しませんでした。
一方、法人の場合には、個人と違い、たとえ赤字でも払わなければならない税金があります。
それは法人住民税の均等割です。
均等割額については、各都道府県、各市町村によって異なるため、各都道府県、各市町村のHPをご参照下さい。

④長期譲渡の売却益にかかる税金が高くなる
個人の場合、物件の所有期間5年以内で売却をすると、短期譲渡となって税率は約39%です。
ただ、5年を超えた場合は長期譲渡となり、税率は約20%にまで下がります。
一方、法人の場合は期間に関係なく約30%なので、長期保有の場合、売却は個人の方が有利になります。



以上、今回は「オーナーさんが法人化する場合、知っておいたほうがいいポイント」についてのご紹介でした。
法人化することの一番のメリットは節税につきると思います。
法人化は事業の規模や個人の状況によっても異なりますので、専門家(税理士等)や家族とも話し合いながら、是非とも法人化の検討もされてみて下さい。

弊社は、弁護士・税理士・司法書士等、専門アドバイザーとも提携(顧問契約)しております。
法人化を考えてみたいオーナー様、弊社顧問税理士からの無料アドバイスも可能ですので、ぜひ一度弊社までお気軽にご相談下さいませ。


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