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2022.01.21コラム

コラム33:アパートオーナー様が考える「生命保険」を活かした相続対策について・・・

生命保険を上手く活用することで、残された遺族が揉めること無くスムーズに相続ができる・・・とはよく聞く話だと思います。
では具体的にどのようにして上手く「生命保険」を活用していくのか?
今回のコラムでは、アパートオーナー様が考える「生命保険」を活かした相続対策について・・・を解説してまいります。



①生命保険とは・・・
「生命保険」とは、自分の死亡や病気、ケガ、介護の備えをすることで、自分や家族を守る生活保障の仕組みです。
大勢の人が生命保険会社へ保険料を支払い、公平に保険料を負担し合っておりますので、万が一のときに保険金や給付金を受け取ることができます。
このように、生命保険は「相互扶助」という助け合いの仕組みで成り立っております。
一人でいくらお金を貯めて備えても限界があり、カバーできない部分も出てきます。
「生命保険」は大勢の人がお金を出し合っているからこそ、必要なときに大きな保障が受けることができる仕組みになっております。



②「生命保険」は大きく分けて4種類!

(1)死亡保険
保険の対象となる方(被保険者)が亡くなった時、または高度障害状態になった場合に保険金を受け取れる保険です。

❶定期死亡保険(単に「定期保険」と表記される場合もあります)
死亡保険のうち、保障される期間が10年、20年、或いは60歳まで、65歳まで…という具合に定められている保険のことを言います。
保障される期間が限られているので、例えば働き盛りに万が一の事態があった時、配偶者や子供・両親など家族のその後の生活費等を用意する手段として用いられることが多いです。
「とにかく今、厚い保障が欲しい」方におススメです。

❷終身死亡保険(「終身保険」と表記される場合もあります)
死亡保険のうち、保障される期間が具体的な年数や年齢ではなく、保険の対象となる方(被保険者)が亡くなるまでという契約になっているものを言います。
保険の対象となる方(被保険者)の万が一の時まで保障が続きますので、活用例としては相続税をはじめとした納税のための原資などが考えられます。
「何歳であろうと、万が一の保障が欲しい」方におススメです。

➌定期保険特約付終身死亡保険(「定期付き終身」とも呼ばれます)
上記❶と❷で取り上げた、定期死亡保険と終身死亡保険を組み合わせたものを言います。
例えば子供の養育費等で大きな保障が必要な時期だけ、定期死亡保険特約で保障を厚くし、その時期が過ぎても終身死亡保険で長く保障を得ることが可能です。
「複数の保険に入るのは煩わしい」方におススメです。

❹収入保障保険
定期死亡保険の一種で、万が一のときに受け取れる保険金を一時ではなく、一定期間にわたり分割して受け取れる保険です。
ただし定期死亡保険の場合、万が一のことが加入して日が浅い段階で起きた場合と、満了間際に起きた場合とで受け取れる保険金は一緒ですが、収入保障保険の場合は最終的な受取額の合計が変わります。
「お給料のように受け取りたい!」方におススメです。


(2)医療保険・疾病保険
対象となる方が特定の病気やケガをしたときに、給付金を受け取れる保険です。

❶入院給付金
「入院給付金」とは、医療保険に加入している際、病気や怪我で入院したときに支払われる給付金です。
入院に伴って発生する出費や入院中の収入減をカバーすることができます。
給付額は加入している医療保険によっても異なりますが、入院1日あたり5千円や1万円などが一般的です。

❷手術給付金
「手術給付金」とは民間医療保険から支払われる給付金の一つです。
病気やケガで所定の手術を受けたときに給付されます。
対象の手術は保険会社によって異なることがありますが、原則として治療を目的としていることが条件となります。

➌通院給付金
「通院給付金」とは、被保険者(保障の対象者)が通院した場合に1日あたり5,000円などの定額の給付金を受け取れる保障です。
医療保険の通院保障には一般的に入院治療後の通院という条件があります。
入院治療がなく、いきなり通院治療だと保障の対象になりません。
損害保険の傷害保険は通院のみの場合でも補償があり、通院保険金が受け取れますが、医療保険の場合は、カゼで診療所に通院したというような入院を伴わない通院のみの治療は保障の対象になりません。

❹がん診断給付金
がん保険の診断給付金は、その名の通り「がんと診断確定された時に受け取れる給付金」です。
つまり治療が始まる前のタイミングで受け取ることができ、かつその使い道は自由であることが最大のポイントです。
入院の費用にあてても、退院後の通院治療の費用にしても、生活費として使ってもいいわけです。

❺特定疾病保険金
特定疾病保障保険 (特定疾病保険)は、三大成人病のガン・急性心筋梗塞・脳卒中で保険会社の定める所定の状態になった場合に、請求により、生きているうちに 死亡保険金 と同額の「 特定疾病保険金 」が受け取れる保険をいいます。
これは、通常、保険金を受け取ると同時に保険契約が消滅し、また三大成人病による保険金の支払事由が発生しないまま、死亡した場合や高度障害になった場合でも同額の保険金を受け取ることができます。
一般に特定疾病保険は、日本人の死因のワースト3をカバーする保険であり、万一の時に有効なものと言えます。
なお、名称については、「三大疾病保障保険」や「重大疾病保障保険」などと呼ばれることもあり、保険会社によってそれぞれ異なります。

❺先進医療給付金
先進医療を利用した場合、検査・診察などの一般の保険診療と共通する部分は公的医療保険制度の対象(保険診療)になりますが、先進医療の技術料に関しては、保険外診療扱いで全額自己負担になってしまいます。
先進医療の負担水準は様々ですが、特にがん治療で例にあげられる「陽子線治療」や「重粒子線治療」のように300万円前後の負担になるものもあります。
それらに備えて、先進医療の技術料実費分を保険で補てんできるようにしたのが「先進医療特約」となります。

❻就業不能給付金
「就業不能保険」は、病気やケガの治療のために働けない期間の収入減少を補う保険で、毎月定額ずつ給付金を受け取ることができます。


(3)介護保険
介護が必要となった状態になったときに、給付金を受け取れる保険です。
一時にまとまったお金が支払われるものもあれば、細かな金額が数年間にわたって支払われるものもあります。


(4)死亡保障付きの生存保険
保険期間中に亡くなっても、満了時点で生存していても、保険金を受け取れる商品です。
生死混合保険とも呼ばれ、預金や運用の代替手段として将来の資産づくりに用いられることもあります。
掛け捨てではなく貯蓄性がある分、一般的には1. 死亡保険と比べ保険料が高めに設定される傾向にあります。



③生命保険で受け取るお金には税金がかかります

【死亡保険金、解約返戻金、満期保険金には税金がかかる】
死亡保険金と満期保険金は、契約者、被保険者、保険金受取人が誰であるかにより、所得税、相続税、贈与税のいずれかの課税の対象になり、お金を受け取った人が税金を支払うことになります。
交通事故や病気などで死亡し、指定されていた保険金受取人が死亡保険金を受け取った場合、また解約返戻金や満期保険金には税金がかかります。

【入院給付金や手術給付金、就業不能給付金には税金はかからない】
ただし、入院給付金や手術給付金、就業不能給付金といった「不慮の事故や疾病などにより受け取れる給付金」は非課税です。



④「契約者」「被保険者」「保険金受取人」の関係で税金の種類が変わる
死亡保険金や満期保険金を受け取る場合にかかる税金は、契約者、被保険者、保険金受取人の組み合わせによって種類が異なります。

※「契約者(保険料支払者)」
保険の契約名義人。
毎月の保険料を支払っており、保険を解約した時に解約返戻金を受け取る人。

※「被保険者」
保険の対象者。
病気や入院で保障がもらえ、死亡すると遺族に保険金が下ります。

※「保険受取人」
被保険者に死亡など万一の事があると、保険金を受け取れる人。


【死亡保険金にかかる税金の種類】

<契約者=被保険者の場合>
夫が自分の万が一に備えて契約した場合など、「契約者も被保険者も夫、保険金受取人は妻」の契約形態の場合は「相続税」の対象となります。
死亡保険金には遺された家族の生活保障という役割があるため、受け取る人が法定相続人の場合は税負担が少なく抑えられるようになっています。

<契約者=保険金受取人の場合>
夫が妻の万が一に備えて契約した場合など、「契約者と保険金受取人が同じで、被保険者が別の人」の契約形態の場合は「所得税」の対象となります。
保険料を支払った本人が受け取ったお金については、原則どのような場合でも「所得税」となり、支払った保険料を差し引いて税金を計算いたします。

<契約者≠被保険者≠保険金受取人の場合>
夫が妻の万が一に備えて契約し、保険金を子どもが受け取れるように契約した場合など、「契約者と被保険者と保険金受取人が別々」の契約形態の場合は、「贈与税」の対象となります。
保険料を支払った人が死亡したわけでもなく、他人がお金を受け取るため、契約者から保険金受取人に「贈与」が発生したとみなされます。



⑤「生命保険」を活かした相続対策(どのように契約すれば課税対象額が少なくなるのか・・・)
これまで述べたとおり、契約形態によってかかる税金の種類が異なりますが、場合によっては大きく損をしてしまうこともあります。
死亡保険金を2,000万円として死亡保険を契約した場合に、契約形態によってかかる税金の違いを、これからご説明してまいります。

<契約者=被保険者 相続税がかかる場合>
前述したように、受け取る人が法定相続人の場合は、税負担が少なく抑えられるようになっており、「500万円×法定相続人数」の金額が非課税となります。
法定相続人が妻と子ども2人の計3人の場合、
「500万円×3人=1,500万円」が非課税となり受け取る死亡保険金から引くことができます。
よって
「2,000万円(死亡保険金)―1,500万円(非課税分)=500万円」
が相続税の課税対象となり、相続税を計算する際、相続財産に足されます。
なお相続税自体にも大きな基礎控除があり、保険金も含めたすべての相続財産から基礎控除額をひいた残りの金額に課税されるため、最終的に課税遺産総額が0円であればそもそも相続税自体がかかりません。
上記ケースの場合は法定相続人が3名ですので、
基礎控除額「3,000万円+(600万円×3名)=4,800万円」
を相続税の課税対象額から引くことができます。
受け取った保険金のうち課税対象となる金額500万円を入れた相続税の課税遺産総額が4,800万円を超えなければ、相続税自体がかかりません。
なお、保険金受取人が妻などの配偶者の場合は、さらに大きく相続税を減らせる措置があるため、最終的に税金がかからなくなる場合が多いものと思われます。
注意点:生命保険の非課税枠を受けられる人は法定相続人に限られます。お嫁さんやお孫さんなど相続人以外の人が保険金受取人になる場合は、この非課税枠は使えないことを知っておいておきましょう。

<契約者=保険金受取人 所得税がかかる場合>
保険料を支払った契約者本人が死亡保険金を受け取るケースです。
死亡時までの払込保険料の総額を300万円としたケースで試算してみましょう。
保険契約者が保険金を受け取ると、支払った保険料を引いた残りについて一時所得とみなされます。
一時所得は特別控除として50万円を引くことができ、所得税を計算する上で1/2にすることができます。
よって
「2,000万円(死亡保険金)-300万円(払込保険料)-50万円(特別控除額)=1,650万円」
が一時所得となり、所得税を計算する際には、その1/2の825万円が課税の対象となります。
「825万円(課税対象額)×23%(所得税率)ー63万6千円=1,251,500円」
給与所得等、他に所得するものがなければ、所得税は約125万円になります。

<契約者≠被保険者≠保険金受取人 贈与税がかかる場合>
契約者も被保険者も保険金受取人も異なるケースです。
保険料を支払った契約者ではない人が保険金を受け取ることになるため、贈与税がかかります。
贈与税には基礎控除額110万円があるため、受け取った死亡保険金から110万円をひいた残りの金額が贈与税の課税対象となります。
「2,000万円(死亡保険金)-110万円(基礎控除額)=1,890万円」
つまり、この1,890万円が贈与税の課税対象となります。
「1,890万円(課税対象額)×45%(贈与税特例税率)ー265万円(控除額)=585万5千円」
よって支払うべき贈与税は、585万5千円になります。

上記の3つのケースで、最も課税対象額が少なくなったのは、<契約者=被保険者 相続税がかかる場合>のケースとなりました。
相続税については、法定相続人の数が少ないとその分非課税分として引ける金額が少なくなるため、課税対象額は高くなりますが、
相続税自体に大きな基礎控除があり、配偶者にも大きな軽減措置があるため、一般的にこの3つのケースで最も課税対象額が少なくなる契約形態となります。
一方、最も課税対象額が高くなるのは贈与税がかかる「契約者≠被保険者≠保険金受取人」のケースです。
非課税となる金額は基礎控除額の110万円しかない上、税率も相続税に比べるとかなり高いです。


☆相続税の配偶者税額軽減特例☆
<相続税が1億6千万円まで非課税になる>
相続人である配偶者は、1億6千万円OR法定相続分、いずれか多い金額までは相続税がかかりません。
なお、ここで言う配偶者というのは、日本の法律において婚姻関係が認められている関係に限られます。
内縁の妻・内縁の夫は適用要件を満たしませんので注意が必要です。
よって、配偶者(妻)には大きな非課税枠がありますから、保険金受取人を配偶者(妻)にするのも一つの手と言えるでしょう。



⑥その他「生命保険」のメリット
❶保険受取人であれば、保険金を受け取る際、他の相続人の了承を得る必要がない。
❷相続放棄を選択しても、受取人に指定されていれば、保険金は受け取れる。
❸一定条件をクリアしていれば、血縁関係以外の方(内縁の妻など)を保険受取人へ指定できる。※ただし保険会社によります。
同居している長男の嫁に対して何か感謝の形で残してあげたい・・・という気持ちを形にするのも生命保険が有効です。
長男の嫁は相続人ではないため、遺産として受け取る事は出来ません。
そこで、長男の嫁さんを受取人にした生命保険に加入し、直接保険金としてお渡しするのもいいがでしょうか。
❹土地建物(不動産)の長男に相続し、死亡保険金の受取人を長女の指定することで、不動産を分割を防ぐ。
❺相続税を支払うには現金が必要になりましが、死亡保険金を納税に充てられる。




■まとめ
ここまで生命保険を利用した相続税対策のメリット・注意点、医療保険の非課税などについて説明してまいりました。
相続税対策としては「終身死亡保険」を選択するのがベストです。
生命保険を利用した相続税対策は、有益な方法の一つと考えてみてもいいと思います。
しかしながら、生命保険だけでなく、信託や遺言なども重ねて、多面的な視点で相続税対策を検討してみるのをおススメいたします。



以上、今回は「アパートオーナー様が考える「生命保険」を活かした相続対策について・・・」を解説いたしました。

弊社は、弁護士・税理士・司法書士・保険会社等、専門アドバイザーとも提携(顧問契約)しております。
「生命保険」の加入やその相続税対策について、弊社と提携している専門家による無料アドバイスも行っておりますので、どうぞお気軽に弊社までご相談下さいませ。

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