新着情報

2021.10.22コラム

コラム26:地主様が土地を貸す場合に注意すべき点

土地の賃貸借は、地主が建物投資をする必要がないというメリットがある反面、ある程度の知識がないと損をしたりトラブルに発展するリスクもあります。
また、契約方法によっては、一度土地を貸すと永久的に返ってこないということもありえます。
こうした事態を招かない為にも、借地に関する法律知識を知っておくことが大切です。
そこで今回のコラムでは、土地を貸すことでトラブルに巻き込まれないようにする為、「地主様が土地を貸す場合に注意すべき点」について、基本的な知識のいくつかをご紹介いたします。


①地代の設定(適正な地代を設定する)
地代の設定について、地主様と借地人様がお互いに納得できるなら問題ないように思えるかもしれませんが、根拠がない言い値で設定してしまうことは、将来的にトラブルへとつながる可能性があります。
よって、地代については、双方の希望とともに周辺での相場や取引実績などを参考にして、適正な価格を決定するべきです。
もしもそうしないでどちらかの希望に沿った価格にしてしまった場合、それが適正価格よりも低ければ地主様が損をすることになり、今はよくても将来的にはその支出(固定資産税等)が収入よりも大きくなったりする可能性があります。
地代を決定する際には、まず周囲で同じような契約をした際の取引実績や、土地を貸す際の相場などをしっかりと調べてから決定しましょう。
また、当人同士で決めるのではなく、第三者となる弁護士や不動産会社などに仲介を依頼することで、トラブルを予防することができます。

②書面化(かならず土地賃貸借契約を書面で交わす)
土地の賃貸借契約というのは、たとえ口約束であっても原則として成立するもので、その場合も法律上は契約書を交わしているのと同等の効力を発揮します。
(ただし、必ず契約書を交わすように定められている借地契約もございます。)
ただ、将来的に何かあってトラブルが生じた時に、速やかに解決するためにはやはりどのような場合でも契約書を交わしておくべきでしょう。
正式に契約書を交わしていれば、裁判所でそれが契約合意の証拠として認められるため、トラブルもそれに基づいて解消することができます。
そして契約書作成には、地主様だけではなく借地人様の意見も聞いて契約内容を決めなくてはいけません。

③土地賃貸借契約書へ定めておくべき内容
●誰が借りるのか(借地人)明確にしておく。
 そうしなければ、貸したはずの相手とは違う人が実際に利用していたとしても、そのことで責任を問うのが難しくなってきます。
 借地人を明確にしておくことで、名義貸しや無断転貸を防ぐことにもつながります。
●どこまでを借地として貸すのかを明確にしておく。
 文章だけで示すのは困難だと思われるので、測量の結果に基づいて記すか、もしくは略図などを添えるといいでしょう。
●借地をどう使用するか、使用目的も決めておく。
 建物建築を許可しない場合は、契約書にしっかりと明記しておきましょう。
●地代の支払い方法、支払うタイミングなどを契約書に明記しておく。
●賃貸借契約における権利金についてもはっきりと明記しておきましょう。
●特約事項を定める。
 特に借地でトラブルとなることが多い、無断での増改築を防ぐために、借地の建物を増改築する場合は地主の許可が必要という特約を決めておくことで、無断で増改築を行った場合は借地契約を解除することができるようになります。
 それに合わせて、承諾料が必要な旨も記しておくといいでしょう。
●契約を解除する際の取り決めを記しておく。
 土地を更地として返還するのか、それとも建物を残して返還し、建物を買い取ってもらう形にするか、という点をはっきりと記載しておきましょう。
●賃貸借契約の更新についても、その有無を明確にしておく。
 定めが無ければ、自動的に更新されてしまうことになります。
 いつまでも借地のままでは、将来自ら使用することができなくなるので、いずれ建物を建てる予定があるのであれば、一般定期借地権での契約にして、期限を定めてしまったほうがいいでしょう。
●契約の更新については、通例では更新料が必要となるので、契約書にしっかりと明記しておきましょう。

④公正証書を活用する(判決不要、トラブル発生後の早期解決を)
賃貸借契約を締結した場合、通常の契約書でも契約したことの証拠にはなります。
しかし、当事者の一方が、後で「その契約書は偽造だ」と言い出さないとも限りません。
よって、通常の契約書では本人が間違いなく自分の意思で約束をしたという証拠として不十分なことがあります。
そして互いに相容れなければ、裁判に持ち込まれ、判決に相当な時間と労力を要します。
そのような事態を防ぐ為にも、土地賃貸借契約を公正証書での取り交わしをお勧めいたします。
公正証書は、公証人(元裁判官や元弁護士など)が当事者の本人確認、意思確認をした上で作成します。
契約書自体が公正証書になっていれば、本人の意思に従って真正に作成されたものであると推定されるので、裁判でも有力な証拠となります。
ただし、公正証書へ、地主さんと借地人さんのどちらかが証書の内容に違反した場合、裁判所が強制執行する「強制執行認諾約款(きょうせいしっこうにんだくやっかん)」という文言を必ず入れておきましょう。
公正証書の契約は、この強制執行認諾約款が入ることで強制執行ができる執行証書となります。
よって、裁判をすることなく強制執行をおこなうことができます。
この点はぜひ、押さえておきましょう。



以上、今回は「地主様が土地を貸す場合に注意すべき点」について、基本的な知識のご紹介でした。
実際、土地を貸すという契約行為は、多くのトラブルに巻き込まれたり、不安にさいなまれやすいのが実情です。
ぜひとも、我々不動産会社や弁護士さんへ依頼することで、トラブルの予防にお役立て下さい。


株式会社ライフコーポレーションでは、業務のデジタル化を進めながら、コロナ禍の最中でも工夫した業務形態を進め、賃貸マンションの入居率向上に努めてまいります。
また、知識の向上、技術の向上、人間力向上など、人材育成も欠かさず進め、社会・地域・お客様にお役立てできるよう邁進して参ります。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。